こちらは主に戦前から貸本漫画時代まで活躍していた戸田世宇三・作、漫画と絵物語が同居した当時としても珍しい作品「少年航空兵」です。童画社、昭和16年ー1941年の重版（初版は昭和15年）。旧新品デッドストック品。

今から80年以上前の本としては美本。長らく倉庫などにしまわれていた戦前漫画の旧デッドストック品で、ピンピン
戦前も多く描いていた戸田世宇三、かつては島田啓三、長谷川町子、杉浦茂とも同じ漫画雑誌で描いていたことも。「少年航空兵」「ヤマノコジカ」２作品掲載。

「少年航空兵」はユニークな作品で、青年航空兵に憧れた少年が飛行機型グライダー作り、空を目指す。苦心しながらも自ら飛行機型グライダーを作り、大空を飛ぶことに成功。そして夢想する青年航空兵になった自分を。

ここでリアルな絵物語のようなタッチになり（真剣になると急にやけにリアルになって70年代後半を席捲した1977年から開始された鴨川つばめ「マカロニほうれん荘」を思い起こさせる、その35年以上前に既に描いていた）、零戦に乗り、敵攻撃機を攻撃。活躍を想像して終わる。当時としては画期的。

「ヤマノコジカ」こちらは最初からやや絵物語ふう。自然に生きるコジカには敵がいっぱい。脅かしてくる子ぎつね、襲ってくるオオカミ（親シカが撃退）、山犬との戦い（父の大格闘）、悪さする狐への仕返しなど、なかなかユーモアある作品。

2作も堪能できます。良いものですのでお楽しみいただければ幸いです。ピンピン
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